FXコラム

連休明けからのドル円相場は投機筋の売りと本邦金融当局による防戦の神経戦か

2016/08/09

6日、米国で発表された雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比16万人増と予想の20万人増を下回りました。

失業率も5.0%と市場予想の4.9%より弱くドル円は106.435円まで下げましたがその後米国の10年もの債券利回りが上昇したことから下げ渋り、地区連銀総裁の年2回利上げ妥当発言などを下支えにして107円台を回復して市場を終えています。

また、商品先物取引委員会(CFTC)が6日発表した3日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイ ル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)のドル円のショートは6万1521枚と前回の6万6498枚から4977枚減少しました。

さすがに105円台をつけて売り持ちにしていた投機筋は一定の利益確定w行ったことがわかります。

ただ、まだ6万枚以上のドル円ショートは残っており、決して円高が終了したわけではないことも示唆しています。

■G7サミットまでは投機筋と本邦金融当局との睨みあいが継続

さて、ここからのドル円相場ですが、105円からは戻したものの既に107.500円が重い状況となっています。

まずはこのレベルと突破して上抜けしないことには上を狙いにいく話にはならないのが現実で、日銀の政策決定ゼロ回答の寸前のレベルから考えれば半値まで戻しても108.700円レベルであり、上値余地はそれほど用意されていないといえます。

米国財務省から為替操作国の監視対象となってしまった日本は、総理大臣や財務大臣、日銀総裁などが介入余地ありとしきりに口先介入を示唆する発言をしていますが、現実的には100円でも切らないかぎりはほとんどその可能性はなく、とくに伊勢志摩サミットまでは何も動けないと見ている投機筋がもう一回下落をしかけてきてもおかしくない状況です。

一方、政権も財務省もこれ以上円高を進行させたくないことから下値ではまたしてもGPIFによるナンピンや、国債金利を低く推移させて円買いの妙味を薄れさせるなど介入以外の様々な手口を持ち出してくることが予想され、ここ2週間程度は本格的な神経戦が展開されることになりそうです。

■米国政府のドル安政策は本格化~ドル円だけ戻す理由なし

弱い雇用統計でもドル円がするする戻した背景はやはり米国の利上げがどうなるかということ次第の相場であることを明確に示している状況となりますが、当面の相場は日本の財政政策のことよりも米国の利上げの可能性次第で推移していくことが想像できます。

安倍政権は伊勢志摩サミットで先進国が同時財政出動を決定することにより劇的な経済状況の回復を狙い、各国に事前打診に行ったようですが、ドイツも英国も反応はきわめて弱く、やはり株価の暴落でも起きないかぎり先進国が連動して金融政策から財政出動主導で景気を回復させていくことがきわめて難しいことをサミット前に示唆してしまったところが気になります。

■政治イベント満載の夏までの市場

ここからの為替相場には政治イベントが数多く立ちはだかることになります。

まずは6月23日、イギリスのEU離脱をかけた国民投票が開催されますがいよいよ8週間を切ったこの時期に世論調査から離脱の可能性が高まればポンドはあらゆる通貨に対して下落することになり、ユーロも引きずられて下落の可能性がありますから、クロス円主体で考えても円高が予想以上に進行する可能性は捨てきれず、この件だけでもドル円が下落する事態に追い込まれる危険があります。

国内は参議院選挙が7月にありますが、ここへ向けて材料が出尽くしになれば選挙結果を待たずに相場が下落する可能性も捨て切れません。

さらに7月18日には米国共和党の全国大会で正式にトランプ候補が統一候補となる可能性が高く、市場の反応が注目されるところで、日本以外のファクターで相場が上下する点に気を使う必要があります。

ただドル円はどれをとってみても買い上がる支援材料が殆どない状態ですからここからは戻り売りで下落に備えることがもっとも効率的な売買方法になりそうです。

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