FXコラム

米国財務省から為替操作国のリストにいれられてしまった日本

2016/08/09

4月28日、日銀が追加緩和を見送り現状維持としたことで株も為替も暴落し、特に為替は翌日の昭和の日の休みに底なし沼のような下落を示現してしまいました。

その暴落とちょうど時を同じくするように米国財務省が日本を含む五カ国を為替操作の疑惑のある国として監視リストに入れたことを発表し、市場ではこの内容に注目が集まりつつあります。

今回為替操作の監視対象として米財務省がリストアップしたのは、日本のほか中国、韓国、台湾、ドイツの五カ国でとりあえず為替操作国と認定されたわけではありませんが、その疑惑の
ある監視対象国ととして正式に槍玉に上げられたことになります。

■日銀はこの内容を事前に知っていた?

ここで注目されるのがこの微妙なタイミングでの発表です。経済政策については事細かに米国に事前打診を行い緊密な外交関係のある日米では、こうした内容が公表される前に当然、日本の金融当局にも事前連絡があるはずで、日銀はそれを知っていてあえて追加緩和を見送った
のではないかという推測がなりたちます。

事前に3円近く買い上げられてしまったドル円や1万7500円にまで期待から押し上げられた日経平均が、日銀の現状維持で大きく下落することぐらいは十分にわかっていたにも関わらず、
ゼロ回答で望んだわけですから、こうした事情が裏にあって、余分な円安誘導とされないためにも、あえて緩和を見送ったとの見方をすることができるわけです。

恐らくこうした姿勢は伊勢志摩サミットまでは継続せざるをえないはずで、もはやどれだけ相場が下落しても介入を口にすることすらできなくなってしまったという見方も強まりつつあります。

■財務省も日銀も国債金利上昇のほうを恐れている

財務省出身で日銀に送り込まれてきている黒田氏はかなり財務省とシンクロしながら政策を打ち出していることがわかりますが、安倍政権がとにかく参議院選挙に勝利するためになんでも
ありの状態に突入しようとしています。

しかし大型財政出動に消費増税延期を次々に繰り出した場合には、日本の格付けが下落する可能性もあり金利が上昇する動きになることはほぼ間違いなくなります。

そういう意味では日銀は簡単に政権の選挙対策などには同調できないと考えるのも無理はないとの見方もできるわけです。

もともと日銀の金融緩和は2%の名目物価の上昇を大義名分として行われていますが、実態は
国債金利をとにかく低利に抑え国の財政を破綻させないことにありますから、いざとなれば株価も為替も彼らには関係ないというのが本来のスタンスといえます。

このあたりが、政権と日銀が必ずしも一枚岩でないことを示唆する状況として見え隠れしはじめている状況でもあるのです。

■日銀は消費増税上げがコミットされないかぎり追加緩和を温存か

国内のメディアではほとんど報道されていませんが、2014年10月末に黒田バズーカ2を発表したにも関わらず安倍首相に消費増税延期で梯子を外された黒田総裁は烈火のごとく怒ったと
いわれています。

今回日銀が安易に追加緩和に乗り出さなかったのは米国からの為替操作国疑惑の問題をちょうど利用して政権の選挙対策にあえて協力しなかったのではないかとの憶測も飛び交い始めています。

つまり消費増税をしっかりコミットしない限りは安易な追加緩和を行わないということを暗に示唆したものとも受け取れるのです。

■ドル売り円買いの投機筋にはなによりの援軍

米国財務省が為替疑惑の監視国をして日本を槍玉にあげたことで、事実上日本はまともに口先介入すらできない状況に追い込まれています。

すでに4月29日(日本時間30日早朝)に116円台前半まで下落したドル円はこの3日、4日といった連休で本邦勢が不在の時期に思い切り売り浴び浴びせを受けることはほぼ確定したといってもいいほど条件がそろってしまいました。

ブルームバーグの報道で一旦はショートカバーにより損切りをさせられた海外の投機筋も今度はリベンジで大きく利益をとりにくることが予想されます。

一体どこまで下落することになるのかが大きな問題ですが、為替相場はここ数日で実にクリティカルな状況に追い込まれることになってしまいました。

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