FXコラム

利上げ後退でもドル円を買上げる投機筋の思惑

2日に発表された米国の8月分雇用統計は9月利上げを決定的なものにするほどいい数字とは言えず、市場の反応もまちまちの状態になっています。

株式市場は明確に利上げ後退を見ているようで一定の上昇を果たしていますが、為替相場、とくにドル円相場は一旦下落してから大きく上昇しNYタイムには104.300円レベルまで上昇し104円台で引けています。

ドル円は雇用統計の結果を前にショートカバーがでて上昇しているものと見られていましたが実際にはかなり積極的にドル円を買上げている投機筋が存在していることが明らかになってきています。

おそらくは夏休み明けの米系ファンドの仕業であろうと見られていますが、これには一定のシナリオが存在しているように見えます。

CFTCが先週末に発表している30日段階でのCMEの投機筋のドル円ショートは減少かと思われましたが、この段階では増加しており、先週末の雇用統計の結果を受けてどれぐらい減少してかが興味のあるところです。

つまり投機筋は大筋ではドル円下落を見込んで決してショートの反対売買を行っておらず一部のファンド勢が逆に買上げる動きをしていることがわかります。

■利上げは微妙でここからどこまでドル円が上昇するかが問題

ただ、現状では利上げ確率は決して高い状況ではなく、しかもドル円は8月の最安値である99.50円レベルからすでに5円上昇していることから、ここから105円をすんなり超えて上昇するには相当なエネルギーが
必要になることだけは間違いありません。

今年7月ヘリコプターマネーでドル円が買いあがったときにも投機筋が絡んでいたようですが、黒田総裁のヘリマネ実施はありえない発言で大きく振り落とさたこともあり、この動きが単純に利上げを期待してのものであるとすればかなりここからの上昇は難しいということができます。

■21日の日銀、FOMCを見越してどこかで反対売買を行う可能性も

ただ、これが9月21日にダブルヘッダーで実施される日銀の政策決定会合結果、ならびに日本時間で翌朝3時となるFOMCの結果をにらみ逆になにも出ないことを想定した買い上げと直前の反対売買なのだとすれば、結構納得のいくディールということができます。

今年4月末の日銀政策決定会合でもブルームバーグによるほとんど誤報に近い観測報道に乗った相場は、ぐんぐん買上げて結局会合でなにもずに大きく売り込まれた経緯があり利上げ期待は利用しながらも、ひょっとするとこちらのほうをファンド勢は狙っている可能性もでてきているのです。

イベントドリブンのファンドならよくやらかす手法ということになりますが噂で猛烈に買上げておいて事実で結局売ってしまうという方法をとろうとしているのであれば今の動きもかなり理解できるものとなります。

21日の日銀政策決定会合で緩和の検証といいながら自画自賛で問題ないとの結果を発表するだけで実際にはなんら追加緩和を日銀が出してこなければかなり失望売りになることは間違いありませんし、まかり間違ってマイナス金利の深堀などが登場してしまえば売り浴びせは必至の状況となります。

その後翌朝3時にFOMCが利上げ見送りとなれば22日の秋分の日は1日ドル円売りの日になるリスクはかなり高まります。

今買上げているファンドがこれを想定したシナリオを描いているとすれば21日はかなり大きな下落になることも意識しておく必要がありそうです。

少なくともジャクソンホール後から上げた部分はすべて吐き出すぐらいの下落があってもしかるべきで、21日についてはそうとう注意が必要になってきているといえます。

昨年12月の米国の利上げでは瞬間ドル円も上昇する局面がありましたが株価の大幅下落で結局年明けには大きく下落する時間が続くことになりました。

もしファンド勢が21日を境に反対売買に転じることになれば直前か発表直後に大きく売りがでることになりそうです。

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