FXコラム

フィッシャー発言にすっかり翻弄されたドル円相場

2016/09/01

26日、ジャクソンホールでのイエレン議長の講演よりもCNBCのインタビューに答えて年内2回の利上げ可能性もあると発言したFRB影の議長とも呼ばれるスタンレーフィッシャー副議長の発言で、週明けの東京市場でもドル円は大きく吹き上がる展開となりました。

確かにFRBの要人から2回の利上げもありと言われれば市場はそれにすっかりかく乱されて利上げを織り込みに行く動きをとることになりますが、冷静に考えてみれば、その根拠は依然として乏しく、しかもドル円は102円50銭から上にびっしりならぶ実需の売りを一切こなすことができず102.400円を高値に逆に下落することとなり、102.100円のストップをつけて108.870円レベルにまで大きく値を下げることとなってしまいました。

■米国の金融市場が利上げを織り込むと株価は大きく下落

ここからの相場ですが、米国の金融市場で利上げが明確に織り込まれ始めると、米国債とゴールドの先行した下落が米国株の下げを加速させる可能性が極めて高く、リスクオフとなれば9月21日の日銀、FOMCの各政策決定会合を待たずに相場が下落するリスクが非常に大きくなります。

いろいろ理屈はつけていますが、結局S&Pの株価しか見ていないのではないかとさえ言われるFRBのことですから、ここから株価が自律的大きく下落し始めてしまって果たして21日に積極的に利上げに臨むこと
ができるかどうかが気になるところです。

■まったく動きがわからないのが日銀

ジャクソンホールでさらにマイナス金利や緩和余地ありと日銀黒田総裁が発言したことはこのコラムでも既に書いていますが緩和の検証をするとした7月の会合における黒田総裁の発言をうけて日銀が一体どのような自己評価を下すのかにも注目が集まります。

決して高値とはいえないまでも比較的安定している足元の株価状況で、結局これまでの政策に間違いはなかったと自画自賛し、追加緩和を見送るようなことになれば市場は大きく売り浴びせてくることは間違いなく、しかもそのあとのFOMCでFRBも利上げを見送れば、驚くほどドル円も日経平均も売り浴びせられる可能性が高まりそうです。

しかも翌日の22日は秋分の日でお休みと来ていますから、2月11日の建国記念の日に大きく売られたドル円の嫌な記憶がよみがえるような日程となっていることも気になります。

9月21日のドル円の相場レベルがどのあたりかにもよりますが、4月末の展開のように5円程度の下落が示現することになればドル円は一気に95円台に突っ込むといったことも考えられることになります。

■もっともまさかの展開は日銀追加緩和にFRB利上げ

ただ、ここからのシナリオでもっともありえないものの、完全に否定できないのが日銀が追加緩和を実施し、FRBもとにかく9月に利上げをしてしまうという展開です。FRBは日欧の中央銀行の金融緩和がかなり
限界に来ていることを十分に理解していますから早いタイミングで利上げを実現し、金融政策余力を保有しておきたいと考えるのは自然ですし、日銀としても今後とも緩和を続ける意思を市場に見せ付けるということで何か出してくるということも完全には否定できない状況です。

この場合、ドル円は107円方向まで吹き上がってもそれほどおかしくはなく、この二つの中銀の政策の組み合わせ次第で、9月21日は驚くほど荒れた展開になりそうです。

唯一の手がかりは、FRBは日銀と違って市場対話を非常に重視しますので、もし9月に利上げをするのであれば、ここから副議長や各地区連銀総裁を総動員して、利上げの雰囲気をされに醸成していくことが予想されます。

黒田総裁もサプライズより市場対話と言い出していますから何かサインを出してくることが考えられます。

したがってここから9月後半に向けては相当慎重に相場を見ていくことが必要になりそうです。まずひとつめの手がかりは9月2日の米国の雇用統計で、この数字が期待を上回ることになればこのまさかのシナリオも現実のものになる確率が高くなります。

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