FXコラム

イエレン講演でFRBは明確な利上げ選択肢を獲得

これまで、市場に言質をとられることを極力避ける姿勢が強かったFRBイエレン議長ですが、26日に行われたジャクソンホールでのシンポジウムの講演では、事前のフィッシャー副議長やダドリーNY連銀総裁
などの利上げ発言とシンクロさせるように労働市場の改善などに伴い過去数カ月間で利上げへの論拠が強まったとの認識を示したことから、時期については依然不明ながら年内利上げの可能性が高まり、ドル円は101円台後半まで大きく値を上げる動きとなりました。

FedWatchが開示している9月の利上げ確率も高まりを見せており、市場の利上げに対する織り込み度合いが急激に上昇しつつあります。

現実的には利上げがあったとしても大統領選挙の決着がつく12月になるものと見られますが、一部の投機筋からは年内利上げはないのではないかといった見方も出ていただけに、FRBはこの講演を通して明確に
市場に利上げを行う意思があることを示し、その選択肢を手中に収めたことになります。

■NY株式市場は利上げが現実味を帯び下落へ

イエレン講演を受けて、なぜかNYダウは125ドル近く値上がりをするという動きを見せることになりましたが、その後フィッシャー副議長が9月の利上げも十分ありうることを補足的に発言したことから大きく売られることとなり、利上げが明確になれば株価が下落することを改めて示現することとなりました。

米国の株価が下落すれば日経平均が連動して下落することは間違いなく、利上げ観測で上昇したドル円も株価の下落につられて再度下方向を目指す可能性が高まりつつあります。

■FRBが開示した金利予定表で波紋

ただ、今回イエレン議長がジャクソンホールで講演時に開示した金利予定表では、将来7割の確率で到達し得る金利水準の範囲を示すこととなりましたが、その範囲は時間軸とともに扇のように広がっていき、2017年末時点では金利が3%を超えることもゼロに逆戻りすることも、ともに7割の確率で起こり得ることになると示したことから、かえって先行き不透明感を高める内容になったとの指摘も相次いでいます。

もともとFOMCで開示されるドットチャートはほとんど当たったためしはなく、12月までに0.25%の利上げが実現したとしてもこれまでのFRBの利上げの動きのように複数回継続するかどうかはまったくわからない
可能性がでてきていることがわかります。

米国に変わって金融緩和を進めてきた日欧の金融当局の緩和措置がこれ以上進まないことも考えられる中にあっては、とにかく早期に少しでも金利を引き上げて政策の選択肢を広げたいのがFRBの思惑と思われますが、将来的な金利政策は依然として不透明であり、今後生産性や経済成長率が低水準にとどまり、世界の貯蓄率が高止まれば、2%を超える利上げはおそらく無理で、残念ながら金利をゼロ近辺にとどめざるを得ない可能性も否定していない点が注目されます。

■本当に利上げするかはまだこれから

とにかく今回イエレン議長が利上げの観測気球を市場に向かってあげることで利上げに対する市場の織り込みを加速させることになったのは間違いないといえますが、果たしてここから12月までに本当に利上げを行うことになるかどうかについてはまだその判断に時間がかかることになりそうです。

中央銀行の場合、利上げをしないと言っておいていきなり利上げするのは明らかに市場に対する約束違反ですが利上げを示唆しながらも上げないままにすることは決して信頼を裏切る話ではありませんから、これだけ利上げ観測が高まってもまだ十分に起こりうる選択ということがいえます。

長らく膠着状態を続けた相場は、このFRB利上げ意向の動きをきっかけにして大きく動意づくことも予想され、夏の動きから一転して秋の新たな相場展開になることが予想されます。9月は米国の株式市場も下落がアノマリーとなりますので、流れが大きく変化することに注意が必要になりそうです。

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