FXコラム

有効な手がかりがつかめなかった米国FOMC議事録

2016/08/20

18日午前3時に7月分の米国FOMC議事録が開示されました。

今回は9月以降の利上げの可能性を探る上では重要な材料となるものでこれまでも7月のFOMC議事録から大きく流れが変わるといったこともありましが、残念ながら公開された中身はそれほど大きなヒントになる
ものはありませんでした。

■ジャクソンホールに向けて地区連銀総裁が活発な発言開始

今年のジャクソンホールでの講演にはイエレン議長も出席することからその発言内容に早くも注目が集まりつつありますが、それに先立つ形で各地区連銀総裁がタカ派、ハト派に分かれて様々な見解を公表するようになっており、相場で一方向に見通しが傾かないようにかなりFRBが手分けをして市場の見方を調整している気配が窺われます。

ニューヨーク連銀のダドリー総裁は9月の利上げの可能性もほのめかして利上げが完全に後ずれしているわけではないことをアピールしドル円は大きく上昇することとなりました。

一方セントルイス連銀の総裁は向こう2年半で利上げは1回と予想しておりさらに利上げが後ずれしそうな弱気な発言を行っています。

こうした連銀総裁の利上げ見通しがばらつく内容となるのは、当初からわざと行われているもので、利上げも見送りもどちらの選択肢もうまく使っていけるように残すようかなり巧みに調整していることがわかります。

■注目されたのはSF連銀ウイリアムズ総裁の論文

各地区連銀総裁の発言や論文の公開などでもとりわけ注目を浴びることとなったのがサンフランシスコ連銀のウイリアムズ総裁が公開した論文で、既存のインフレターゲットを2%からそれ以上に引き上げて、米ドルをインフレ通貨にしようとする考えがあることを示したことが大きく注目されました。

通常インフレ通貨というのは売られる宿命にありドルもこうした通貨の仲間入りとなれば、利上げが起きてもドル自体は売られることになりFRBとしてはドル安誘導ができることになるというわけです。

この発想がFRBのほかの委員にどのぐらい浸透し波及しているのかは今のところ不明ではありますがウイリアムズ総裁がこの時期にこうした論文をちらつかせたのは単なる偶然ではなく、FRBがなんらかの形でドル安だけは維持していきたいと考えている現われであると見るのが自然ではないかと思われます。

こうした動きが示現してきますと円はさらに円高にシフトすることが考えられ、今年後半の為替相場はより円高に注意が必要になりそうな展開となってきています。

日本サイドから見ますと、既にドル円は昨年の高値となった125円レベルから25円以上円高になっており、このレベルでも十分円高と感じやすい状況ですが、米国が求めているドル安=円高はより円高のレベルを希望している可能性も高く、米国のドル安政策が各通貨に対してどのレベルで落ち着くことを期待しているのかが非常に注目されます。

いずれにしてもここからは米国では大統領選挙も開催されることになっており、FOMCの利上げタイミングを別としてもドル円の上昇支援材料は極めて限定的なものになることが予想され、大局ではドル円は円高方向に動くことになるものとみられはじめています。

9月には日銀の政策決定会合において、新たな緩和の枠組みの提示が予定されていますので、まだ変動要因は残されていますが、こうした材料がどれだけ円安を引き出すことになるのかは不透明であり、特に直近の株と為替の動きは連動感をすっかり欠くものになっているだけに株高だけれども円高という事態も想定しておく必要がでてきはじめています。

ジャクソンホールでイエレン議長の講演はおそらく決定的な発言を避けた無難なものとなることでしょうから、地区連銀総裁の発言などが次のFOMCまでの推測材料として引き続き機能することになりそうです。

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