FXコラム

海外投機筋を中心としてヘリマネ期待

2016/08/11

市場では海外投機筋を中心としてヘリマネ期待が依然として高く、株も為替も大きく下げることなく月末の日銀政策決定会合と政府の総合経済対策の中身を期待し続けているようです。

■ヘリマネ的手法の悲劇となった226事件

読者の皆様は226事件をご記憶でしょうか?実際に体験された方はもはや殆どいないと思われますが歴史の教科書でさらりとその時間が起きたことは覚えていらっしゃる方も多いことと思います。

この226事件は昭和11年、1936年2月26日から2月29日にかけて日本の陸軍皇道派がの影響を受けた青年将校らが1483名もの下士官兵を率いて起こした国内最大のクーデター未遂事件として有名なものです。

歴史の教科書ではこの青年将校の勇み足が起こした事件というだけで内容は正直なところよくわからないものとなっていましたが、このときに暗殺されたうちのひとりが時の大蔵大臣の高橋是清でした。

日本の戦争はとにかく戦費獲得の歴史でもあり日清戦争のころから諸外国に金策するなど借金をして戦争をするというのはある意味の定石となっていました。

そのうちに大蔵省が考え出したのが戦時国債、今でいう赤字国債を発行しては戦争を行うというある種の自転車操業でしたが、さすがに財政規模にくらべて異常に債務が膨れあがることを危惧して戦時国債の発行を見合わせようとしてのがこの当時の大蔵大臣であった高橋是清だったのです。

それまで湯水のように資金を使っていた軍部の怒りを買うのは当然のことで、226事件では高橋是清が完全に青年将校から敵視されて暗殺されています。

本来、歴史をしっかり振り返ることができればこうした方法を選択することはありえないともいえますが、80年の時を経てまたしても同種の方法が選択されれようとするあたりはいかがなものかと思わせるものがあります。

■ヘリマネは一度やったら止めが効かなくなる

もちろん当時と今の社会が同じだと言っているわけではなりませんが、問題は、このように政権や軍部に簡単に資金を調達できる手法を提供してしまいますと、当初は一回かぎりと言ってもその後の歯止めがまったく効かなくなることは容易に想像できることになってしまうのです。

特に足元の市場で語られているのはゼロ金利で償還期のない永久債を発行して日銀が購入し金庫にそのまましまって錬金術を行うというスキームで、これを止め処もなく進めていけばとてつもないインフレがやってくることは確かであり、しかも景気はよくありませんからいわゆるスタグフレーションとなり、給与は上がらないのに物価だけ高くなるという最悪の状況に陥ることが予想されます。

しかも人口減少で1980年代のように多くの不動産価格が上昇するのも都内の山の手線内の内側だけのように限定されてしまいますと大方の日本円でしか資産を持たない国民はその資産価値が著しく毀損されることになり一億総貧乏時代が動来することはほぼ間違いないといえます。

■ヘリマネが実効できるのはインフレ到来前だけ

こんな奇策が浮かび上がってくるのも今はなにをしてもインフレにならないからにほかならず、制御できないインフレが到来すればこのような政策はすべて破綻をきたすことは間違いありません。

フリードマンの弟子でデフレに詳しいバーナンキ前FRB議長をわざわざ来日させアベノミクスはまだ終わっておらずデフレ対策でできることはあると外部から言わしめる形にした政権の思惑はとにかく2018年に憲法改正貫徹なのでしょうが、このやり方はかなりのリスクを伴うものであることは間違いありません。

とくに政府の債務を中央銀行に移して両建てで資金年質をするという錬金術は相当危ないもののひとつになりつつあり、このまま今の政権が押し切る形になるのかあるいはこれまでの日銀の金融緩和の枠組みの中に押しとどめることになるのかはかなり注目されるポイントとなりそうです。

いずれにしても市場は相当な期待をしており月末の日銀政策決定会合や政権からの総合経済対策の枠組み発表次第では、相場は上昇も大幅下落もありうるというかなりクリティカルな状況にさしかかっていることだけは間違いありません。

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