FXコラム

市場で高まる日銀の追加緩和~果たして黒田バズーカは登場するのか?

2016/08/09

市場で高まる日銀の追加緩和~果たして黒田バズーカは登場するのか?

4月にはいってから株式市場も為替市場のドル円も大きく下落していることから、金融市場ではまたしても日銀による追加の金融緩和を望む声が非常に高まりつつあります。

しかし、このタイミングで日銀黒田総裁は事実上最後のバズーカとも思える、さらなる追加緩和を本当に持ち出してくるのかどうか大きな注目が集まりつつある状況です。

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財務省から送り込まれてきている黒田総裁は悲願であり、これが現実のものとしてコミットされないうちに追加緩和だけを投入するかどうかは
かなり疑わしい状況になってきているともいえるのです。

本当に4月28日の日銀政策決定会合で黒田バズーカが登場することになるのでしょうか。

■そもそも中央銀行のQEは為替の下落に使えない状況に

昨年12月からECBも日銀も追加緩和の実施で相場をコントロールすることができなくなりつつあります。

ECBと日銀の置かれている状況は必ずしも一緒ではありませんが双方ともにマイナス金利を導入しているところは同様で、どちらも金融株を思い切りファンド勢から売り込まれるという厳しい展開になっています。

ECBは昨年12月3日の政策金利の発表でも大失敗しユーロの相場は350PIPS以上ショートカバーを示現することとなりました。

またほぼブルメニューと思われた3月のECB理事会の政策内容の発表でも一時は大きくユーロが売られることとなりましたが、その後記者会見でドラギ総裁がこれ以上の緩和はないといった打ち止め発言をしたことから買い戻しが進み、こちらも400PIPS程度もショートカバーがでて、まったく金融緩和はユーロ安にはなっていません。

一方日銀も12月の緩和では保管措置といった国債の買い入れ年数の枠組み拡大などを行いましたが、この内容もわかりにくいと嫌気されて年末であるにも関わらず日経平均もドル円も大きく下げて終わるきっかけを作ってしまいました。

さらに年明け1月29日の決定会合でのまさかのマイナス金利導入では3日だけ相場が上昇したものの、その後は大崩れで年度末まで尾を引く状況となったのはご存知のとおりです。

今回日銀が意を決して量的追加緩和の実施とマイナス金利の深堀を行った場合、ECBと同様に材料出つくしから株も為替もさらに売り込まれる可能性が十分に残されています。

■政権は財政出動と増税延期による演出を模索

気になるのは安倍政権の動きです。5月末の伊勢志摩サミットの席上で先進国として先陣を切る形で大型の財政出動を持ち出してくるのが安倍政権の戦略のようで、当然のことながら消費増税の延期も盛り込むことで株価の回復をはかろうとしていることはほぼ間違いない状況です。

しかし財務省と日銀はあくまでも増税予定通りの実施を前提にしているからこそ追加緩和を積極的に行うつもりですから、延期の措置がでるのであれば2014年10月末に次いで二回目の黒田総裁の梯子はずしとなり、果たしてこの状況でも黒田総裁が追加緩和に踏みきるのかどうか、非常に関心が集まるところです。

■FOMCの後、ゴールデンウイークの前というタイミングも微妙

4月の日銀政策決定会合は、その日程もかなり微妙なところにあります。前日の朝3時にはFOMCの金融政策決定があり、現状では利上げはほとんど予想されていませんが、利上げ延期はNY市場の株価は上げますが、ドル円は下押しの大きな要因となってしまいます。

その翌日に日銀が追加緩和を行っても上述のように材料出つくし感が醸成されればドル円は売られますし、なにも行われなくても失望感から売られる可能性があるというわけです。

しかもさらによろしくないのは、その後日本はゴールデンウイークで飛び石ではあるものの10日近くまともに相場が機能しなくなりますから、
本年2月11日の祝日の為替の暴落のように海外投機筋に仕込まれて売られる格好の機会にならないとも限らないのです。

こうした難しい状況の中で本当に黒田総裁は緩和に踏み切ることができるでしょうか。ある意味で興味津々の状況です。

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