FXコラム

驚くほど悪かった5月分の米国雇用統計の発表

2016/08/10

驚くほど悪かった5月分の米国雇用統計の発表を受けて、6日(日本時間7日午前1時半)にフィラデルフィアで開催されたイエレン議長の講演に注目があつまりましたが、結果から言えばほとんど再放送のような内容で、利上げ時期に関して言質をとられるようなことは殆どありませんでした。

そもそもこの人の講演はいつも同じことを言っているだけで面白くないのが特徴ですが、それに輪をかけて余分なことを言って問題にならないようにしていることが明確にわかった講演となりました。

とにかくまだ利上げの可能性もあることを最大限に残しながらもデータ次第という判断要素を変えなかったのがイエレン講演となりました。

■FRBは株価をみて利上げ政策を決めているとの噂

外資系のファンド勢の間では、FRBはS&Pの株価の動きを睨みながら利上げ政策を決めているのではないかという噂が非常に高まっていると言われています。

当面の目標は2134から2150あたりを明確に超えたところで利上げにGOがかかるという話もまことしやかに流れているようですが、たしかに株価が下がると彼らはなかなか利上げに踏み切れないという大きなジレンマがあるようです。

実際12月の利上げ以降米国の株式は驚くほど下落しており、そうとう高い飛び込み台が用意されないと利上げできないのはまんざら嘘でもないようです。

■今米国指標だけで利上げすればリスクオフ逆戻り

FRBは諸外国の状況にも気をつかう発言はしていますが、基本的には自国のデータだけで利上げを継続しようとしていることは明らかです。

しかしここで利上げが起きるとドル建てで債券を発行しているような新興国はかなり窮地に追いやられることは間違いなく、恐らくまたリスクオフで大きく資金が新興国から逃げ出すことになりかねません。

このあたりをどこまでFRBが真剣に考えて利上げを行うかですが、恐らく、利上げ後には株価が下落し為替はそれにつられるかたちで下落をともにする展開が予想され非常に注意が必要な時期がやってきていることがわかります。

■依然可能性が残される7月利上げ

7月は大統領選挙の影響をうけない事実上最後の月であり、UKの離脱騒動も一定の決着を見ているはずですから、実施はしやすい環境にあると思われ、引き続きこのタイミングを注視していく必要がありそうです。

ただし、UKの離脱が正式に決定した場合には状況はかなり異なるものとなりそうで、ここにも
大きな注意が必要になってきます。

■とにかく少しでも金利を上げて政策余地を残したいFRB

FRBが金利を今のうちにあげておきたいのには事情があることはよく理解できます。

少しでも景気が回復しているうちに金利を上げておけば、この先リセッションになっても金利の政策で対応ができるようになり、闇雲に量的金融緩和に依存しなくても済むからにほかなりません。

QEを再開すれば、益々金融政策の舵取りは難しくなりますからなんとしても金利で対応できる余地を作っておきたいというわけです。

この先万が一トランプ政権などが実現すれば益々混沌としてくることは間違いありませんから7月ないし9月の実施というのはかなり差し迫ったタイミングになってくることは間違いなく、このままでは無理をしても実施してしまうのかも知れません。

しかし為替相場の視点から考えますと、ドル円は一旦上昇したところが大きな戻り売りのポイントになる可能性がきわめて高くなります。

利上げでドル円だけが上昇して円安が示現するとは到底思えず利上げをしてもドル安というパラドックスを引きずった展開が必ず登場することになると想定されます。

この夏はドル円の売り場を探す重要なタイミングが訪れることになりそうな予感です。

特に夏場は株もドル円も下落しやすい時期にあたりますので慎重にそのポイントを見極めていきたいところです。

-FXコラム