FXコラム

日経新聞の日銀報道でドル円下落~週明けさらに売られるか?

2016/08/10

20日の金曜日、というよりは21日に日経の英語電子版に載った報道が市場を動かすこととなりました。

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日銀は将来の金融緩和の「出口」で保有国債に損失が生じる事態に備え、2015年度に初めて4500億円程度の引当金を積むという内容の報道ですが、英語版ではなんとかく出口戦略を考えているかのうような見出しになっていることが気になります。

案の定、それまで110円50銭台の後半まで買い進まれたドル円は2時過ぎから大きく下落することとなり、午前3時過ぎには110円7銭まで50銭弱の下落を示現することとなりました。

内容はよくよく読んでみると購入した国債の利益を引当金に計上することだけなのですが、いよいよ日銀は出口を考え始めているのかと印象付けられるような内容であり、さらにこの報道が週明けに増幅される可能性がでてきています。

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■日銀に事実上の出口はない

アベノミクスと銘打った金融抑圧政策ではすでに日銀の保有国債も300兆円を超えるレベルになってきていますが、財務省と日銀にとってはとにかくインフレが起きて、金利が上昇することが国内の財政を破綻させないために必須の状況となっており、今日銀が国債買い入れをやめたといった途端に相場は大荒れになることが必至の状況です。

国債金利が4%にまで上昇すれば消費税上げどころか年間の税収をすべてつぎ込んでも利払いが足りなくなり公務員の給与さえ満足に支払えなくなるのがこの国の実態ですから、財政出動なども悠長に実施できるような状態ではなくなってしまいます。

したがって日銀は今の金融緩和を簡単にやめられるような状況ではなく、これまでのアベノミクスの3年間は金融抑圧に加え財政ファイナンスを行ってきたようにしか見えない日銀の動きですが、出口の話が出た途端に大きな不安が市場を襲うことになるのは確実で、今回の報道が外人投資家にどのように理解されることになるのかが非常に注目されるところです。

■ブルームバーグ報道の二の舞にならないことを祈るばかり

4月の日銀政策決定会合前のブルームバーグの観測報道では市場が勝手に期待して相場を買いあがりゼロ回答で必要以上に失望してゴールデンウイークに為替主体で大きく相場を崩すこととなりましたが、同様のことが起きる可能性は十分に考えられる状況になってきています。

今回の日経新聞の報道は日銀の決算前に事実を伝えただけに過ぎませんが、英語のヘッドラインの踊り方次第では出口をすぐに考えているかのような錯覚を起こさせる可能性は高く、なんとも嫌な雰囲気が漂い始めています。

■現実的な出口はハイパーインフレかデフォルトしかない?

敬虔に日銀の出口戦略といいますがここまで膨れ上がった国債の負債を考えれば、簡単に出口など見つかるはずもないのが実情です。

実際にハイパーインフレでも起こして借金を帳消しにする以外にはほとんどこの状況を改善する方法は考えられず、このまま債務が膨れあがればデフォルトしか残された方法はないぐらい危機的な状況にあることは間違いありません。

JGBはほとんどが国内勢によって買い支えられていることから他国のように闇雲に国債が売られて金利が上昇することはありませんが、インフレがやってくれば話は別で、むしろ国内勢が国債を売ることで金利が跳ね上がり危機的な状況になることも憂慮されるところです。

今回の日経の報道でどの程度海外勢が反応してくるかが大きく注目されるところですが、決してプラスに働く可能性はなく、日銀の対応をめぐる今後の報道にも注意が必要な状況となってきています。

仮に誤解しても相場は一旦動き出すと止められなくなることが過去にも何度も起きています。

とくに金融緩和をめぐる出口戦略の報道には相当気をつけるべきところにさしかかっていることは間違いありません。

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