FXコラム

断固発言を繰り出した麻生大臣にドル円相場は大きく戻る展開

2016/08/09

連休明け実需のドル円買いニーズなどから仲値で戻したドル円は参議院で麻生大臣が断固とした姿勢で為替に臨むとすごんで見せたことから買戻しが大きく進み、なんと109円を越えるレベルにまで相場が復帰することとなりました。

長く為替の世界でトレードをしている古手のインターバンクディーラーに言わせると、断固という言葉は介入の合図となることが多くそのため用心して買い戻しをかけている投機筋も多くなっているようです。

■本当に介入は可能なのか?

4月22日のワシントンG20 会合以来米国は鮮明にドル安誘導をはじめているように見受けら、日本も為替操作の監視対象国にノミネートされるなど結構露骨な対応が目立ち始めています。

麻生財務大臣をはじめ安倍首相や菅官房長官などは、米国の動きとは裏腹に日本は介入可能と豪語していますが、国内向けの発言なのか、本当に介入ができるのかの見分けがかなり難しく
なってきていることは事実です。

ただ、市場から聞こえてくる噂ではこの連休も首相官邸は本当に介入できる臨戦態勢をとったことだけは事実のようで、発射ボタンだけは押さずにドル円の下落を許してしまったようです。

■スムージングといえども米国の理解を得るのは至難の業

安倍首相も浅生財務大臣も為替介入は可能であると連呼していますが、感情的な発言を別にすれば、本当にスムージングと称しても介入が米国の理解を得られるためには1日に3円以上の下落や短期間に10円下落するようなことが起きない限りはなかなか難しいのが現実的な状況であり、伊勢志摩サミットの直前段階でそこまで押し切った介入ができるのかどうかにはかなりの疑問が残ります。

参議院選挙を前にして株も為替も下げたくないにも関わらず、日銀がまさかのゼロ回答で大きく相場を下げさせてしまったことに対して首相官邸がかなりいらついていることは十分にわかりますが、果たしてそれが勢いにのって為替介入にまで進展できるのかどうかが大きな注目点となります。

恐らく外人の投機筋も政権の反応をうかがっていることは間違いなく、伊勢志摩サミットでの主要国の為替に対する反応を見た上で再度仕掛けをしてくれる可能性も高まってきています。

一旦は105円台をつけたことから市場にも一定の達成感はでたはずで、ショートも溜まってきていることからある程度の戻りを試すことはありそうですがここからどんどん上を目指すというわけにはいかない状況です。

■110円台では売り遅れの実需輸出税の売りが待っている

政権としてはとにかく円高による企業収益の悪化を防ぐためになんとか円安誘導をしたいのでしょうが、ドル円が上昇する段階では実需の輸出税のドル売り円買いがびっしり待っているのもまた事実で、輸出税が円安の足かせになるというなんとも皮肉な状況が継続しています。

ここからどこで上値が重くなるか慎重に確認した上で戻り売りを試したいところですが、市場全体としてドル円の上昇を支援する材料はきわめて限定的であり、仮に伊勢志摩サミットに向けて政策対応が出尽くす形になるとまたしても相場は売られる展開が継続する可能性が高まります。

また日本の介入姿勢をめぐって米国サイドからけん制する発言が飛び出せば、再度下攻めの機会が到来することになり、当面相場から目が話せない状況となってきています。

ドル円はえらく大きく戻したような気がしますが日銀の政策決定前のレベルは111.870円レベルですから、そこまでの回復もはかられておらず現実的には110円台に載せるのもかなり難しいものと思われます。

超短期的にはドル円は下げれば買いで参入してもとれそうな気配ですが、大筋としては戻りを
しっかり売って待つことがお勧めとなります。

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